鯉の好奇心

お絵描き・ハンドメイド・読書感想・生き物観察など多趣味人間の作文集です。

【生き物】世界最速なアリを知って庭のアリを語る

 

目次
 前置き

 

 

 こんにちは、鯉巻です。

 

突然ですが、皆さんは「最も速い生き物は?」と訊かれたら、何を思い浮かべますか?

 

daresore.hatenablog.jp

 

いいランキングですね。ツバメの大健闘には正直驚きましたが。

 

ツバメか…。以前、ドアラがツバメ軍団にやられてるのを見て「集団のツバメは超キケン!」て思いましたが…。

 

 

時速200kmで来たら危険どころじゃないですね、ドアラ蜂の巣になるところでしたね。

 

 

 

ですが…あまい!

 

生物とは「動物(鳥類含む)」だけにあらず!

 

「最速」の定義が様々なことは承知のうえで今回私が見つけた記事によると…と思ったら、こんな記事も見つけました。

 

www.gizmodo.jp

 

えっ…こんな生き物が世の中に…すみませんでした、知りませんでした…こんなミクロな生き物が瞬間的にすんごい素早い動きをするんですか!

 

以下引用。

 

毎秒200m/sは、停まっている車が1秒で200m/s(時速720km)の速さに到達するほどの加速度。 これは、カエルが獲物を捕らえる時に舌を出す加速度の80%、そしてアメリカの単距離空対空ミサイルAIM-9Eの73%だそうです。

 

…あれ、カエルの方が速いと言っているように見えるのは私だけですか…??

 

 

 

最速生物は、アリ?

 

ちょっと寄り道が過ぎましたが、ここで「おそらく最速」の紹介を…。

 

最速の定義がそもそも色々で、紹介する記事でも「様々な定義の仕方がある」と断りを入れた上で「昆虫が体の一部を動かすという点での最速」と紹介されてますが、加速度の話ならばきっとナンバー1なのではないかと思います。

 

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

アリさん来たよ…!昆虫ってすごい!(←昆虫大好き)

 

ドラキュラアリ(時折幼虫の血を飲むことからそう呼ばれている仲間だそうです)の1種 Mystrium camillae は、なんと、その顎を0.000015秒で時速320kmまで加速させることができるんだとか!

 

すごいですよねぇ…こんな小さな生き物が、人間が1回まばたきする間に5000回も顎パッチンしてるなんて。…よく顎外れないな。

 

 

 

今回栄えある栄冠を手にしたアリさんですが、アリといえばその数の圧倒的多さですよね。

 

庭で行進しているのを見ただけでも「人口…アリ口多そうだな」って思いますが、実際に世界でもっとも繁栄しているのはアリの仲間で、その総数は1京匹(=10,000,000,000,000,000匹…0多すぎっ!)とも言われ、その総重量は人類の総重量とほぼ同じになるのだとか。

 

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総重量で釣り合っちゃう

 

高い社会性だとか人間とは全く違うコミュニケーションの仕組みだとか、色々魅力のある生き物ですが、アリといえば集団・行列・ゾロゾロですものね。

 

…そこかなぁ…それが嫌われるのかなぁ。家の中に侵入してきたのならわかりますが、外で平和に活動しているアリを何故巣ごと撲滅しなければいけないのか…。

 

皆さん、アリはとっても役に立つ生き物ですよ。彼らがいなければ、うちの庭は荒れてしまうもの!

 

 

 

アリ頼りな私のガーデニング

 

私は植物を育てるのが好きで庭で花壇を作ったり鉢植えを楽しんでいるのですが、殺虫剤の類は使わないポリシーなんです。

 

ムシが増えて困ったら、「テデトール=手で取る」。捕食者に見つかったら食べられる、鯉巻さんに見つかったらゴミ袋…的な。

 

なので、暖かい季節はムシが多いです。園芸植物よりも、庭木に!イモムシ系がモリモリ葉っぱを食べています。

 

このムシたちが、肉食性の昆虫や鳥・カエルなどの小動物を呼び、それによって私の庭はとても賑やかになるんです。

 

でも、ちょっと困ったことも…。木の剪定をすると、イモムシたちがたくさん地面に落下するんですよね。

 

…見た目がね。さすがにキモイ;;

 

ここで活躍するのがアリさんたちです。ほんと優秀な掃除屋さん!

 

15分もすると、どこから集合するのか大量のアリたちが落下したイモムシを取り囲み、さらに15分後には何事もなかったかのように跡形もなく、静かな庭の地面が戻っているという…。

 

さらに、ムシが集まる庭なので、その死骸に会うことも多いです。

 

これを片付けてくれるのもアリさん。たまに硬いところだけ残ってたりするけど(頭だけとか…ちょっと怖い。あと、セミの幼虫には歯が立たなかったのか丸ごと放置でした)、ほんとによく働いてくれてます。

 

アリさんたちがいなければ、うちの無農薬な庭は成り立ちません。ありがとう、アリたち!

 

 

 

わが庭のアリメンバーは3+1種

 

そんな我が庭のアリさんたちですが、複数種います。

 

はっきり見分けられていたのは3種。

 

ですが、見分けられていると言っても、正確な種名などはわかりませんでした。だって、図鑑を開いても全部同じに見えるんだもの!

 

なので私は今まで、「大きな黒いアリ」と「巣を作る小さな黒いアリ」と「旅をする小さな黒いアリ」という認識で生きてきました。

 

そこに、今年初めて目にした「黄色いアリ」なる存在が加わりました。

 

黄色いの…飴色って言うんでしょうか。すごくきれいなアリなんですよね。

 

元々いたのか、今年どこからか来たのか、それはわかりませんが、なかなかお気に入りの昆虫になりました。美味しそうな色なんですよ(笑)

 

それで、「名前を知りたい!」と思って調べてみたところ、これがなかなか難航しまして。

 

黄色いアリ自体がなかなか見つからないし、ようやく黄色っぽいのを見つけても「これのような…違うような…」…だって、全部同じに見えるんだもの!

 

それでもなんとか、「これかなぁ」というのが見つかりました。多分そうです!似てるもの!

 

そもそも、アリは世界中に名前がついているものだけで1万5千種以上いるそうです。名前がついていないのを含めると2万種を超えるとか。

 

そして、日本に生息しているアリは、なんと295種!

 

えっ…私が持っている昆虫図鑑でも、ネット上の図鑑でも、そんなに網羅しているのはなかったんですけど…大丈夫かな。「絶対これだろ!」って思ってたけど、自信なくなってきた(汗)

 

でも、もう何カ月も「このアリなんだろ不思議アリ~♪」状態でしたので、いい加減決着をつけておきたいし。

 

決着つけてスッキリして新年迎えたいし…!(笑)

 

「多分これ」の領域を抜けきれなさそうですが、そもそも素人に昆虫の同定なんて無理なんだし(←)ざっくりまとめたいと思います。

 

ついでと言っては何ですが、元からいるアリメンバー3種についても頑張って調べてみました(でも実はこっちの方が謎が深かった!)。

 

 

 

アリまとめ

 

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アリメンバーの皆さん

エントリーNo.1:新参者の黄色いアリ 「アメイロケアリ」

 

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アメイロケアリ(多分)

 

私の撮影技術が拙くて申し訳ないのですが、これが精いっぱいの写真です…。

 

多分「アメイロケアリ」だと思うんですが、よく似ているものに「ヒゲナガアメイロケアリ」というものがいるんですよね。

 

でも、参考にしたサイトさんでも「アメイロケアリとヒゲナガアメイロケアリを働きアリで区別するのは困難」とあったので、私ではもうこれ以上は…ということで、アメイロケアリということにします ( ー`дー´)キリッ

 

アメイロケアリ
  •  ハチ目 アリ科 ケアリ属
  • 働きアリの体長:約4㎜
  • 働きアリの体色は黄色
  • 分布:北海道 本州 四国 九州
  • 東アジアやヨーロッパ、北アメリカにもいる

 

あまり地表を歩き回らないらしいので、見かけることは少ないのかもしれませんが、実はほぼ日本全国に分布していて、林縁から林内に生息、立木の根元に営巣するそうです。

 

稀に古くなった木造家屋の土台や浴室土盛りに巣を作っちゃうことも…こうなると、やはり害虫駆除の対象でしょうか。

 

我が庭で言うと、最初は花壇に巣を作ってました。

 

野良猫が掘り返すのを防止するために、我が庭では花壇にバークチップを敷き詰めているのですが、その下をうろうろしているのが最初の発見でした。

 

で、そのうちに土がバークチップの上を覆うようになって、巣の入り口がはっきりと見えるように。

 

夏花壇の片付けの為に植物をのぞいたら、花壇の巣からは姿が見えなくなって、近くの植木の根元に新しい巣の入り口ができてました。

 

この「アメイロケアリ」、調べてみたら面白い生態を持っていました。

 

「トビイロケアリ」や「ハヤシケアリ」という他のケアリの巣を乗っ取る(社会的寄生という)らしいんです!

 

おそろしー。おそろしー。

 

交尾を終えたアメイロケアリの女王(女王の体色は働きアリと違い黒色)は、ケアリの働きアリを殺してその臭いを自分の体に付け、ケアリの巣に侵入します。その後しばし平和に共同生活を営んだ後、アメイロケアリの女王の産卵が始まると状況が一変。ケアリの働きアリたちが自分たちの本当の母であるケアリの女王を殺してしまうらしいんです。アメイロケアリの女王をすっかり母だと思っているケアリの働きアリたちは、自分たちの母を殺し、アメイロケアリの娘たちを育て、やがて寿命を迎え、そうして巣はアメイロケアリのものとなる…と。

 

ほほう…面白いですな。

 

そして、そんなアメイロケアリもなんと、「クロクサアリ」というアリに同様に社会的寄生されるらしいです。…うわぁ。

 

 

 

エントリーNo.2:巣を作る小さな黒いアリ 「トビイロケアリ」

 

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トビイロケアリ(自信なし)

 

こいつがまた、特徴があまりなくて図鑑見ても似たようなのばかりで、どうしたもんかと思ったのですが、分布とかメジャー度とか、なによりアメイロケアリの生態を考えると「トビイロケアリ」ではないかなぁと思ったわけです。

 

前述の通り、トビイロケアリはアメイロケアリに社会的寄生されます。 

 

我が庭に元々いたのは、この巣を作る小さな黒いアリ。そして、最近になって(少なくとも気付いたのは最近)アメイロケアリが現れました。

 

そして、確かに近くにいたんですよね、巣の入り口近くに両方の種が。「こんな入り口近くを多種がうろうろしてても怒らないんだー」って思って見ていたんですが、アメイロケアリの生態を知って合点。

 

つまり、この巣を作る小さな黒いアリは「トビイロケアリ」で、「アメイロケアリ」はこのたび目出度く巣の乗っ取りに成功して我が庭に定着したのではないかと。

 

そう結論付けました。

 

トビイロケアリ
  •  ハチ目 アリ科 ケアリ属
  • 働きアリの体長:約3㎜
  • 女王・働きアリともに体色は黒褐色
  • 分布:北海道 本州 四国 九州 対馬 屋久
  • ヨーロッパからアジアにかけて分布

 

トビイロケアリの特徴は、その多産。巣には1匹の女王しかいませんが、産んで産んで産みまくって巣として成熟すると数万個体のファミリーになるそうです。

 

草地から林内に最も普通にいるアリらしく、よく見かける小さめのアリはこいつということでしょうか。

 

朽ち木や枯れ木の近くの土中に営巣するそうですが、家屋内の壁の中や床下に営巣することもあり、そうなるとやはり問題ですよね。お砂糖とかを狙っちゃうことも多い種だそうです。

 

あと、有名な生態として、アブラムシと共生関係を結ぶというのがあります。「蜜をくれる代わりに守ってあげるよー」ってやつです。

 

我が庭でも、アブラムシのいる植物にはよく彼らがいましたね。

 

あと、植物の種も好きです。よく運んでる姿を見ました。

 

アリにしてみれば数ミリの小さな種も大きくて重いものになりますから、バランスが取りづらかっただけなのでしょうけども、頭上に種を掲げてフラフラちょこちょこ歩いてる姿は「種だぜヤッホー♪」とはしゃいでる様にも見えて、可愛いなぁと思ってました(笑)

 

それから、確かに家に侵入してきます。うちの場合は東日本大震災で一部崩れたお風呂場の壁の隙間から(笑)

 

場所がお風呂場なので、キッチンの食べ物までたどり着くことは今までなく、侵入者を速やかに排除して侵入口に水をかけておく…という姑息な手段の繰り返しで今のところ問題ありませんが。

 

あれ、食べ物の在りかを覚えて巣に情報を持ち帰ると、行列で来ちゃうんですよね。その前に暗殺しなきゃいけないんですよ。

 

 

 

エントリーNo.3:大きな黒いアリ 「クロヤマアリ」

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クロヤマアリ(だと思う)

 

「だと思う」としてますが、ほぼ間違いないと思います。似ていると迷うやつが他にいなかったので。

 

クロヤマアリ
  •  ハチ目 アリ科 クロヤマアリ属
  • 働きアリの体長:約5㎜
  • 働きアリの体色は艶消しの灰色~黒色
  • 分布:北海道 本州 四国 九州 沖縄
  • 東アジア(北はサハリンから南は台湾)に広く分布
  • 学名は Formica japonica

 

草原などの日当たりの良い土の露出したところに深さ最大1mになる巨大な巣を作るようです。

 

そうか…だからかな。

 

実は、庭でクロヤマアリの巣らしきものを見たことがないんですよね。姿はよく見るんです。普通にいる。だけど、ゾロゾロ歩いているのもどこかから出てくるのも見たことがなくて。

 

うちの庭は結構植物がもっさりだし、露出した地面で日光がよく当たるなんて条件の場所は…私があまり立ち入らない端っこの方か、もしくはお隣のお庭ですね。そっちに巣があるんだ!

 

家に侵入することもまずないようですし、お庭のお掃除屋として彼らはそっとしておいてあげるのもいいかと。

 

食べ物があると、急に何処からかすごい数集まってきますが、通常は一人でフラフラ餌を探しています。

 

あと、このアリもアブラムシの蜜が好きです。トビイロケアリと一緒にアブラムシの近くによくいます。

 

大きめのアリなので、大きめのイモムシも一人で引きずって持っていきます。力持ちです。

 

クロヤマアリの天敵サムライアリは、クロヤマアリの巣を襲って働きアリやさなぎを誘拐し、奴隷として働かせるんだとか…クロヤマアリも大変だな。

 

 

 

エントリーNo.4:旅する小さな黒いアリ 「アミメアリ」

 

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アミメアリ(多分)

 

これも「多分」の領域を出ませんが、メジャー度や生態などを考えて「アミメアリ」と判断しました。

 

アミメアリ
  •  ハチ目 アリ科 フタフシアリ亜科 アミメアリ属
  • 働きアリの体長:約2.5㎜
  • 働きアリの体色は茶褐色~黒褐色
  • 分布:日本全土
  • 東南アジアから東アジアに分布するが、日本ほどはいない

 

頭部に網目模様があるから「アミメアリ」というそうですが、網目模様…肉眼では、せいぜいボコボコしている風にしか見えません;;

 

森林やその周辺、人家の周りにも見られ、いわゆる巣穴ではなく、石の下や朽ち木の隙間などに潜んでいて、環境が悪くなったり餌がなくなったりすると適宜集団移動して暮らすアリです。

 

我が庭では毎日移動してましたけどね、夏の暑い頃は特に。

 

朝夕良く行列を作ってました。しかも、行列のレベルが違う。ベルトぐらいの太さの帯が、どこから始まりどこまで続くのか見届けられないほどの長さ。

 

…なんか、家の周りを一周ぐるぐるしてるだけなんじゃ…と思うくらい、毎日ゾロゾロしてましたけど(笑)

 

ゾロゾロしてるくらいだから、そのまま人家に侵入してしまって害虫認定…ってのはよくあるらしいです。甘いものも好きみたい。

 

そして、お日様が嫌いです。日が当たり始めると、一生懸命逃げて日陰になる壁の隅っことかに集団で固まってじっとしてます。

 

毎日のことなんだから、日が当たる前にゾロゾロ終わらせなさいよ!…とか思いました(笑)

 

石の下だけでなく、バークチップの下や大きな落ち葉の下にもいたりするので、草むしりの時にうっかりそこをオープンしてしまうと、卵やさなぎを持って右往左往の大パニックを起こさせてしまって申し訳なく思います。

 

そして、アミメアリの面白い生態として、女王アリがいないというのがあります。

 

女王、いないらしいんですよ。女王「役」はいるらしいのですが。

 

オスも普通いないらしいです。たまーに現れることがあるらしいのですが(何故たまに出てくるんだろう??)。

 

働きアリだけで、メスだけで増え続ける。単為生殖というやつですね。クローンで増えていくわけです。

 

働きアリが卵を産んで育てて、他のアリみたいに新女王と王子の結婚飛行とかもなくて、数が増えたら群れが分裂するらしいです。

 

面白いですね。みんなが産めるから(実際は若い個体らしいですが)あんなに大所帯になるんだなぁ。

 

 

 

おわりに

 

アリが素早さNo.1の称号を得たのを知ってアリ愛が抑えきれなくて、普段はニヤニヤしながら眺めているだけのアリという存在を改めて調べてみたら、ちょっと調べただけで興味深い情報が出てくる出てくる…。

 

アリって、奥の深い生き物なんですねー。

 

ちっちゃいのに。そこらへんに普通にいるのに。

 

世界には、もっと面白い生態のアリがたくさんいるようなので、一人でこそこそ調べて雑学知識満たしておこうと思います(笑)

 

来年の春、うちの方だと遅いときはゴールデンウィークごろにようやく姿を見かけるようになるんですが、その時また会えるまで楽しみにして冬を過ごそうと思います。

 

アリさん、面白い。昆虫、最高。