鯉の好奇心

お絵描き・ハンドメイド・読書感想・生き物観察など多趣味人間の作文集です。

【本】帯にそそられて草薙龍瞬著『反応しない練習』を読んでみた

こんにちは、鯉巻です。

 

 

 

いきなりですが、私は人付き合いが苦手です。

 

周りの人たちはそうは見ていないようなのですが、ある程度の知り合いでもそこそこ緊張してしまいます。

 

何が緊張させるのかというと、相手の反応です。

 

私が何か言ったことに対して、相手がどう反応するか…肯定するか、否定するか、言葉で反応してくれるのならまだいいのですが、一見笑顔のままだけれども一瞬顔がこわばったような気がするなんて時にはもう…もう!

 

今のは相手に嫌な思いをさせたのか、引かれたのか、それとも私の勘違いなのか…と、頭の中でグルグルです(笑)

 

当たり障りのない話だけで世の中済むのなら楽なんですけれど、意見を求められた時、意見があるのなら言わずにはいられないわけで(「あなたはどう思う?」とわざわざ訊いておいて、自分の意見に賛同しないと怒るってねぇ…じゃあ訊かないでよと思うのですが)。

 

私も、覚悟を決めて言っているつもりなのですが、それでも不機嫌な反応を取られると「あ”~やってしまった (~_~;) 」と心にダメージを食らいます(笑)

 

そして、またそれを引きずるんですよね!

 

夜、部屋で一人エンドレス反省会…(笑)

 

子供の頃から人の顔色をうかがって行動してきたところがあるので、「相手の不機嫌は私の失敗です」的な概念がありました。

 

でも、今はだいぶ上手に感情のやりくりができるようになりました。

 

相手の反応をあまり深読みしないで自分の言葉を発するようにしているし(←気にはしてます)、悪い反応だったとしても「自分ならどうだ、これでそんなに怒るか?…いや、怒らない。なら大丈夫!」となんとか振り切れてますし(←気にはしてます)、一人反省会が始まってしまっても即座に断ち切る技を習得しました(←これは上手くなりました!)。

 

そんな風になれた要因の一つが、草薙龍瞬著『反応しない練習』です。

 


 


 

 実は、この本を手にしたころ、私は今までの仕事に加え介護部門に関わらなくてはならなくなり、「介護か…いろいろと大変だと聞くよな…(人間関係が)」と、ちょっとブルーな気分だったんです。

 

もともと人間関係に苦手意識がある上に、感情がぶつかり合う業界(!)に飛び込まなくてはいけないなんて…こりゃ大変だ。メンタル鍛えよう!

 

そう思って新しい本を探していました。

 

そんな中で目に留まったのが、この『反応しない練習』でした。

 

この『反応しない練習』、どうやらブッダの教えに基づいた自身の心のコントロール法について書かれているようでしたが、惹かれたのは何よりもその帯の内容。ブッダが言ったと思われる言葉が載っていました。

 

「その非難の言葉は受け取りません。そのまま持って帰ってください」

 

…何それ?!ブッダそんなこと言ったの?!超面白い人じゃん!!(笑)

 

本を読む前ですから、もちろんこの段階でこの言葉の真意はわからないわけですが、なんだか絶妙にツボにはまってしまい、にわかブッダファンとしてそのまま購入してしまいました。

 

パケ買いならぬ、帯買い(笑)

 

いつも本を選ぶときは、結構ア〇ゾンさんのレビューなどを見て考えるのですが、この時は直感で決めてしまいました。

 

自分で言うのもなんですが、私は結構良い感を持ってます。運も良い方です。ピンときたらそれに従った方が、結構いい結果になります。

 

この本も、私にぴったりの良書でした。おかげさまで、私はだいぶメンタルブレなくなりましたから!

 

 では、少しばかり内容紹介と感想を。

 

 

 

本の内容は、ブッダの説いた「原始仏教」を基に、日常生活における様々な「心の反応」と「反応してしまう心への対処方法」をレクチャーしてくれるものです。

 

「心の反応」とは、心に浮かぶすべての事象と言ってもいいのではないかと本を読んだうえで私は感じたのですが、本書の【はじめに】から引用させていただくと、

 

たとえば、朝の通勤ラッシュで「今日も混んでいるな」とゲンナリする。これは、心を憂鬱にさせる“反応”です。 心ない相手の態度にイラッとする。これは、怒りを生む“反応”です。大事な場面で「失敗するかもしれない」と、マイナスの想像をしてしまう。これは、不安や緊張を生み出す“反応”です。人と会うときも、仕事をしているときも、外を歩いているときも  心は、いつも“反応”しています。

 

このように、心に浮かんでは流れていく全ての感覚・感情が「心の反応」と呼ばれるものです。

 

この「心の反応」は、もちろん喜びや感動などハッピーな気分を運んでくれる場合もありますし、やる気やモチベーションにつながる場合もありますが、時として、イライラや不安・後悔などの「悩み」を生んでしまう場合があります。

 

つまり、「我々の悩みは心の反応により作り出されている」、これがブッダの教えから見た時の悩みの正体というわけです。

 

そして、このことから、「すべての悩みを根本的に解決するには、ムダな反応をしなければよい」という究極の(?)解決方法が導き出されます。

 

そう、反応するのが原因なら、反応しなけりゃ悩まないよねっていう…。

 

この段階ではすごく大雑把で「いや、なんか言ってることはわかるけど、そんな簡単なものじゃないでしょ」と思うのですが、本を読み進めていくと、やるべきことはすごくシンプルで単純。「そんなことで…」って思うのですが、まぁお金がかかるものでもないし、試しにやり続けてみると「ああ…ああ!なるほど!なるほどねっ!」と体験から納得できる感じです。

 

中々うまく言葉で言い表せないのですが…メンタルが強くなるというより鈍くなる感じ?(笑)

 

いや、ちゃんと感じてはいるのですが、図太くなるというか、動じないというか、もちろん出家僧のように最初から不動心なわけではないのですが、カッと来てもモヤッとしても、「はい、シャットアウト!終了!」みたいな感じで切るのが大変上手くなりました。

 

ほんと、これはありがたい。夜の一人反省会がなくなりましたからね!(笑)

 

多少毒を感じる言葉を投げかけられても、今の私には通じませんよ。フフフ。

 

仏教僧のメンタル最強説はたぶん本当なんだろうなぁと思います。ブッダの教えを極めたら、そりゃ負け知らずですよ。

 

ブッダがこんな顔してたのもわかります。

 

ブッダ 釈迦

「その非難の言葉はお持ち帰りください」ブッダ

 

私も練習を積めば、たぶんこうなれる。

 

仏鯉

「あなたはあなた、私は私」鯉巻

 

 

 

本書では、悩みの根本原因である「心の反応」を主軸に自分の心を健康に保つ方法を、色々なシチュエーションごとに解説してくれています。

 

「あいつは何でああなんだ!」とか「だってこうあるべきでしょ!」とかいうイライラ。何でイライラするのか、そのメカニズム解説と対処法があります。

 

「どうせ自分なんて…」というウツウツ。そんな時はどう考えればいいのか、対処法あります。

 

承認欲に憑りつかれて、「何故認めてもらえない!」とか「なんであいつばかり!」とか果ては嫉妬に駆られたり…その思いを手放す手助け、あります。

 

競争社会に疲弊しながら生きる…ちょっとだけ楽になる方法、あります。

 

多かれ少なかれ、現代社会で生きる者なら誰しも抱える心の暗い闇な部分、それを解放する方法を教えてくれるのが、『反応しない練習』です。

 

私は、承認欲が強い人間でしたから…子供の時から認められたくて頑張るのに、成績出して「ようやく認めてもらえる!」と思っても、だれも「よくやった」の一言もくれなくてやさぐれてた子供でしたから(笑)承認欲の手放しは頑張りたいところですよねぇ。

 

大人になってもう諦めの境地に来てるところもありますが、なんかチャンスがあると期待してしまって勝手に一人でガッカリしてたりしますから(笑)

 

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「私は私を肯定する」鯉巻

 

心理学的にも嫉妬した時は「自分が本当に欲しているものを知るチャンス」といいますが、「あ、私嫉妬してる!これが私の本当の望みなのか!」と気付き理解する事(←これもブッダ式の一部です)、これに終始してその後の余計な反応はしないように練習中です(笑)

 

 

 

それから、この本ではブッダの教えの中にある色々な論理も紹介されているのですが、その中の「人間関係をまあるく治める“四つの心がけ”」、これ、いいですよ。自分がすごい良い人になった気になれます(笑)

 

まぁそれは冗談ですが…慈・悲・喜・捨という四つの心がけというのがブッダの教えの中にあり、これを接する相手に常に向けられれば、相手との関係も良くなるだろうし、何よりも自分の心が楽になるよ!…というものです。

 

相手の幸せを願う心、【慈】。子供が幸せに暮らせるよう願う親心にみられるような、慈しみの心のことです。

 

相手の苦しみや悲しみに共感する心、【悲】。親しい人が病気で苦しんでいたり辛い出来事で悲しんでいたら助けてあげたいと思うような、相手の悲の心を理解する心です。

 

相手の喜びに共感する心、【喜】。楽しそうに遊びまわる子供や動物を見て自分も幸せな気持ちになるような、相手のハッピーに共感する心です。

 

そして【捨】。手放す心、捨て置く心、反応しない心。「悩み」から解放される手段として本書でずっと語られていた、ムダな反応を辞めるということです。

 

この「四つの心がけ」、こうして見てみると、結構私たちも日常的にやれてますよね、好きな人・親しい人に対しては。

 

現代社会で精神衛生状態良好な生活をおくるためには、この四つの心がけを好きな人たちだけでなく誰に対しても向けていく必要があるということなんです。

 

いつも上から目線で人を馬鹿にしたような態度をとるあの人の自慢話を聞かされているときも、「ああ、心が乾いているんだな(←本書の中で出てきます、心の渇きの話)、この人も辛くて可哀想なんだな」と、仏の心で見る。

 

頑張っても自分には無理だったことをあの人が達成した時、もちろん嫉妬の存在をきちんと認めてあげつつも「あの人はすごく頑張ったんだな、とても嬉しそうで私も嬉しいな、あの人がもっと成功できるよう願おう」と(ちょっと頑張って)思ってみつつ、理解した嫉妬心はそっと手放す…そんな仏の心。

 

仏の心という言葉は本書には一切出て来なかったと思いますが、いわゆる私がイメージする仏の心の在り方なんですよね。

 

別に誰にでも優しくしなければならないというわけではないし、良い言葉をかける必要もなくて、心の中でひっそり自分なりに思って決着をつけて、「じゃあ、自分にできることをしましょうか」と次に移っていく。

 

実は結構ドライな一連の流れです。その時一瞬相手方に寄り添って、「では」と次に切り替える。さっぱりして引きずらないです。

 

自慢話にしろ、嫌みにしろ、愚痴にしろ、この「四つの心がけ」を意識して聞くようになってから、ずいぶんストレスを感じなくなりました。

 

 

 

このように、本書はブッダの教え=原始仏教を基盤とした方法で、自分では変えようのない環境の中で、変えられる自分の心をコントロールして平穏に暮らすことを勧めています。

 

そう、環境はなかなか変えられないんですよね…。転職云々といいますが、転職先でも人間関係はもちろん発生してくるわけで…私のように全般的に人が苦手なタイプとしてはどこにいてもそこそこストレスが溜まるわけです。

 

逃げ場がない場合、どうするか。変えられるのは自分だけ。

 

そう、相手に期待しない。相手の反応は相手に任せる!私は私のできることをするだけ…。

 

単純で、割り切っていて、「こう来たら、こうします」という一貫性のあるブッダメソッドは、元理系の私には非常に分かり易くやり易いものでした。

 

一つ一つはちょっとしたことで難しくはありません。

 

全部こなすとなると、出家僧レベルになりそうでなかなかハードルが高そうですが、

そこまでいかなくても十分幸せな心で生活できるようになれると思います。

 

ブッダは言ったそうです。「何ものにも頼るな」と。仏教ではなくブッダの哲学だった原始仏教では、ブッダは「自分だけをよりどころにしろ」と言ったそうです。

 

宗教とは違って、祈れとかすがれとかの話ではないと。己を確立し、それを信じろと。なんかカッコいい(笑)

 

初詣にすら行ったことがない、宗教観念がうっすい私としてはそれはありがたい概念です。

 

何よりも実践。練習は必要ですが、いずれ私は「反応しない心」を極めて、この顔になることを目指します。

 

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「正しい生き方のみをよりどころに生きる」鯉巻

 

以上、草薙龍瞬著『反応しない練習』を読んでみた話でした。